劇場の役割として、ホールでの演奏会や舞台を企画し、実施することがありますが、地理的な条件や、 さまざまなハードルによって劇場に足を運ぶことができない人たちへ文化芸術に触れる機会を提供する ことも、劇場として求められる重要なことです。 県劇アウトリーチ事業は、市町村と共催し、小中学校や福祉施設などへ演奏家を派遣し、出前授業を実施 するものです。ホールや体育館を使った鑑賞会ではなく、音楽室などの小さな空間で、生の演奏を間近で聴き ながら、クラシック音楽や邦楽の魅力を伝えることを大きな目的としています。 この事業は、国の施策として全国の公共ホールが取り組んできたものでありますが、県劇では独自の施策として平成 16(2004)年から実施しています。当初は首都圏から演奏家を招き、小中学校に派遣していましたが、現在では熊本で 活躍する、もしくは熊本出身のアーティストを登録アーティストとして派遣しています。 18年間の活動で、アウトリーチを実施した学校・施設は延べ 452箇所、人数にして約3万1千人に達しています。 令和4(2022)年度は、10地域の市町村への派遣が 予定されており、今後はその活動を広げていくことも 視野に入れています。 県劇が実施しているアウトリーチ事業の特徴は、 授業の枠組のなかでなにを子どもたちに伝えたいの か、音をどう表現していくのか、専門家のアドバイス をもとに演奏家自身がプログラムを作成しているとこ ろにあります。演奏家の楽器や、得意分野などによっ て授業内容が変わっていくのが特徴です。 のびのびとした感性を育む 熊本県立劇場のアウトリーチ アウトリーチとは、文字通り 〝外に出て 届ける〟こと。
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